夜明け前の心臓(仮)

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

フォンタン・テイクダウン

 フォンタン手術後にグレン循環に戻しました。あんまり聞いたことないから記録しておきます。はる君は元気な男の子だからたまに忘れちゃうけど、左心低形成症候群ってやっぱり最も重い心臓病なんです。

2017/12/19

 シマノ先生(仮名・主治医)から、8時に病院に来るように告げられたので、朝6時に家を出た。早く布団には入ったものの、3時くらいに目を覚ましてからは寝付けなかった。
夫も寝不足なので、高速道路の運転を避け電車で行くことにした。まだ暗い中、電車に乗り込む。日常を優しい視点で綴るブログを書かれている円野まど (id:ma-corpus)さんの電車に乗るのは楽しいぞっ。【ライトな乗り鉄のお話】 - こちら孤島のまどよりお便りします この記事で、初日の出を電車の中で迎えるという、わたしには思いつかないすてきなことを提案されているんだけど、図らずも今日の朝日は電車の中で浴びることになった。
電車の中で夢を見た。はる君がおうちで歩いている夢。悲しい。

8:45 病院着

 ICU面会の待機ロビーに着いた。外科の執刀医BJ先生(仮名)が来るまで面会してお待ちください、とはる君のベッドに案内してくれた。はる君、おはよう。

 はる君の頭にタオルがかけられていて、ドキッとした。眩しくて音も気になるだろうから、眠ってもらうためにかけていたんだという。よかった。何かと思った……。夜間、はる君についていてくれた看護師さんは、去年小児病棟ではる君をお世話してくれた方だった。再会できて嬉しい!
「はる君、覚えてますよ。体格がっちりしましたね、大きくなりましたね」と言ってくれた。

インフォームド・コンセント

 15分ほど眠るはる君を眺めていたらBJ先生が来た。別室に移動し、術前の説明(IC、インフォームドコンセント)を受ける。

これまでの経過

 今回再手術という判断に至った一番の要因は、低酸素状態が改善されていないから。
 酸素の値と圧力のバランスがいかに上手にとれるかが問題になっていた。圧力について、手術直後は12〜13位と良い数値だった(現在の数値も15〜16と問題ない)。どこの圧力かは聞けてなかったけど中心静脈圧だろうね……。

 3日目、開窓部付近の血流が見えないことから、穴の閉鎖が疑われた。胸水も多い。これだ、という原因が特定できず、肺血管を広げるNOガス(一酸化窒素)を使うことにした。やがて尿が出始めた。しかし根本的な解決には至らず、NOガスを切ると酸素飽和度が下がり、人工呼吸器からの離脱もできない膠着状態に陥った。

CTから見えてきたもの

 ICU5日目の昨日、なんとかCTを撮ったところ、色々わかった。

  • 塞がっていると思われていた開窓部、実は開いていた
  • 穴が4㎜で適切か、という問題があったが、これ以上開けると酸素飽和度は今より下がってしまう
  • NOガスを入れると肺に血液が流れ、NOガスを切ると途端に肺に流れにくくなる現象が起こっていた
  • 今回はフォンタン循環をいったんあきらめてグレンに戻し(take down)、+肺への血流路を新たにつくる

 今回も人工心肺を使用し、心停止化で手術を行う。人工血管を切除し、下大静脈を延長して右房につなぐ。それだけでは肺への血流が不足するので、再びRV-PA(右心室-肺動脈)を人工血管でつなぐ。前回のグレン循環にRV-PAシャントを追加した形になるってことかな?
肺血流の増加は、酸素化を促すが心不全をまねく恐れがあり、肺血流が減少すると、心臓はラクになるけど低酸素血症が進みチアノーゼが酷くなる。

  • 人工血管は6㎜の太さを使用する(6㎜~5㎜)
  • 目が覚めてから酸素と圧力の値は刻刻と変化するので、胸を閉じずに数日待機するかもしれない
  • 人工呼吸器は強制的に換気するものなので、出来る限り早期に外せるのが望ましい

 手術は朝一番かと思ったら、2番目だったようだ。予定では11時ころに手術になるようだ。「まだまだ時間はあるから、ゆっくりくつろいでいてよ」と言い残してBJ先生は去った。

10:40 手術の時間が決まる

 ICUクラークの方が手術時間を知らせに来た。11:25に手術、直前には再度面会可能。

11:00 面会

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 はる君、目が開いてる……!かなりぼんやりとしていたけど、先週の水曜日に手術をしてから初めて目が開いているところを見た。話しかけると、はる君は少し手を動かした。瞳が揺れて、意識がすこしあるようだった。目の奥がツンとした。

11:25 手術開始

 うとうとしたり、ネットを眺めたりして所在なく過ごす。

14:40 手術終了

 思っていたより早く呼ばれた。胸骨を新たに切ったりする時間がないからその分早く終わったのかな。

  • まず下大静脈→人工血管→両肺動脈へフォンタンでつないだ人工血管を肺動脈のところでcutする
  • 人工血管の中を覗いてみたところ、細かい血栓がたくさん飛んでいるのが目視で確認できた
  • 細かい血栓が肺に飛んでいることで酸素飽和度が低下していたのかもしれない
  • そこで、下大静脈はじめ、見える血管内を全て洗浄した
  • 下大静脈は右房に縫い付けた
  • ノーウッド手術の際に右室から肺動脈へ人工血管をつないだ時の穴を利用して、再度右室-肺動脈にバイパスを通した
  • 今後も胸水は出るため、ドレーンで水分を抜いていく
  • 血栓を予防するためにヘパリンを使う
  • 大事なのは、尿がよく出ること
  • 開胸したまま様子をみるという可能性もあったが、閉胸した
  • 回復には時間がかかるかもしれない

 ちょっと図解がないと何が何やら……。今日は気力を使い果たしたので後日描く。

 手術後、1~2分面会ができる。麻酔医の玉藻先生(仮名)、まわりのスタッフさんに「ほんと、かわいいよね~」と言うのが聞こえてきた。BJ先生のほか、内科主治医のシマノ先生(仮)、ツマブキ先生(仮)、伊集院先生(仮)もいて、何やら話をしていた。酸素飽和度は83%、手術前より10%以上上がっている。このまま安定してくれるといいな。

 ICU面会は時間が非常にシビアで、わが家から病院まではdoor-to-doorで片道1時間50分程度かかる。ここ数日は、体中に管がつながれて痛々しいはる君の姿を30分眺めるだけで往復3時間半を費やすので、すこしずつ疲れが溜まってきた。そんな中、連日ブックマークコメントやTwitterで励ましてくださる方の存在がありがたい。歩みを止めたくなったとき、次の一歩を踏み出す力になっている。はてなスター、いいね!もありがとうございます。ご心配おかけしています。きっとこれから良くなります。


 夜明けはきっといつか来るから、また日は昇るから……。