夜明け前の心臓(仮)

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

テイクダウン後1ヶ月(PICU26日目)

2018/01/19(テイクダウン後32日目)

 インフルエンザA型の次男の潜伏期間が終わり、久しぶりに病院に面会に行った。ずいぶん間が空いてしまったから心配だ。良くなってるだろうか、腹水は止まっているだろうか、ミルクは飲めてるだろうか、はる君を苦しめている菌はいなくなっただろうか。一度主治医のシマノ先生(仮名)に電話で様子をうかがったが、院内PHSの電波のせいかほとんど聞こえなかった(かろうじて強心剤が減り、ミルクを再開することだけは聞けた)。

今日のはる君

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 んん?もぞもぞ動いている。覚醒し始めているみたい。担当の看護師さんに聞いてみたら、いままでになく動いているって。
「おかあさんの声が聞こえてきたからじゃないかしら?」と言っていたけど、本当かな?
 わずかにむくみが引いた感じがする。それから左胸と右胸のドレーン(余分な水を排出するための管)が抜けている。

人工呼吸器の設定と酸素飽和度

FIO2 75%
プレッシャーサポート 14
換気数 30
SpO2 82%

FIO2…人工呼吸器の吸気に含まれる酸素の濃度。
SpO2…経皮的酸素飽和度、血液中の酸素の値。基準値は100%。
 少しだけ酸素の値が低くなっている。通常の空気中の酸素は約21%だから、そこに近づけていって、十分に自力で呼吸できそうと判断されれば管を抜く。仮に状況が悪化した場合は再挿管になってしまってまたふりだしに戻るので慎重にすすめる方針だ。
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主治医のおはなし

  • ミルクを入れても大幅にSpO2が下がることがなくなった
  • 肺高血圧薬エポプロステノール*1はいま点滴している分が終わったら減量を試みる
  • 敗血症と認められる症状で原因菌の培養を行っていたが同定には至らず
  • 抗生剤は効いている
  • 炎症反応が下がり、胸水、腹水が大幅に減った
    • 現在は腹水を抜くドレーンのみ

 久しぶりにシマノ先生に会ったけど、はる君の状況をおだやかに伝えてくれ安心する。面会に来れない間もずっとはる君を助けてくれてありがとうございます。今日、状況次第では鎮静を徐々に切って覚醒していくとの話だった。

リハビリ

 面会中に見慣れない方がご挨拶してくれた。PTの宇津木さん(仮名)。今週からリハビリが始まった。リハビリの詳細についてはまた後日別エントリにて伝えたい。

長期間の面会がつらい

 面会に来るたびにPICUの隣のベッドのおともだちとそのママと言葉を交わしている。
長期間に渡るPICU面会は精神的にキツいものがある。それまで笑って遊んでいたはる君が、こちらの言葉にも反応しなくなって、たくさんの管につながれて、皮膚が壊れるほどひどくむくんで、ミルクを飲むことすらできなくなったボロボロの姿を見続けなくてはいけない。
 語りかけが大切だからとたくさん話しかけようとしても、言葉につまる。
 想像してみて、反応のない子を見つめながら面会時間の間ずっと話しかけ続けるのを。本当にきついよ。

 いつだったか、はる君がとても苦しい状況にあるとき、おとなりさんにつらい気持ちを打ち明けたら、「全部捨てて連れて帰って抱きしめたくなる時がある」と言っていた。わたしも同じ。痛くて苦しいことばかりずっと我慢させてきてしまったのに、これからもまた手術は続くんだから。はる君を抱きしめて家に連れて帰りたくなる発作に襲われるときはある。でもはる君は一所懸命生きようとしている。じゃあ、わたしにできる事ってなんなんだ。歯を食いしばってはる君から目をそらさないことしかできない……。

きらきら星

 はる君の清拭(せいしき、身体を拭き清めること)を看護師さんと一緒にさせてもらった後に、☆のマークの服をはる君に着せた、というか、かぶせた。
そのとき
「この子、きらきら星の歌が好きで、キラキラって言うとおててをキラキラさせて喜ぶんですよ」とわたしが言ったら、はる君の右手が宙をふらふら一回、二回さまよった。

 気のせいかもしれないので、今度は「きらきらひかる~」と歌ったら、やっぱり手がふらふらと動いた。その場面を目撃していたPICUの看護師さん達数人もモリモリ盛り上がったけど、わたしも盛り上がった。やっぱり、声が聞こえていたんだね。大げさだけど、いろんなものがこみ上げてきた。


 両方向性グレン手術へテイクダウンしてから一ヶ月経った。この日、はる君の意思のようなものが感じられたのはとっても嬉しかった。わたしは泣いた。

 少々上向きではあるけど、まだ人工呼吸器にも頼っているし、いつまた感染症がはる君をむしばむかもわからない。でも、昨日より今日のほうが素敵な日だった。

電池が切れるまで―子ども病院からのメッセージ (角川文庫)

電池が切れるまで―子ども病院からのメッセージ (角川文庫)

この本は、はる君が左心低形成症候群だとわかってから買った。子ども病院の子どもたちのみずみずしく生々しい言葉が胸を打つ。また、病児のお母様による詩がすごい。後日拙い感想文もアップしようと思う。