夜明け前の心臓(仮)

夜明け前の心臓(仮)

最重度の心臓病の一つである左心低形成症候群の息子の記録。手術・入院・通院の事や病気の情報など。あと雑記。

付き添い三日目ーもう不安じゃない

付き添い三日目

2016/06/30

はる君は入院中、2~3時間に一度は起きて泣いていた。
おとといとは違い、昨晩は同室の赤ちゃん+付き添いのお母さんがいる。睡眠の邪魔にならないようにしなくちゃ。

 

オムツ替えて、オムツの重さを量って、母乳の温めと栄養剤添加をお願いして(orミルクを温めて)、哺乳瓶の重さを量って、飲ませて、また重さを量って記録して……。
それでも泣く時は抱っこして病棟をぐるぐる歩き回った。
何人かのお母さんとすれ違ったが、はる君は立ち止まると泣くのでなかなか声がかけられない。

はる君が寝た隙に母乳を絞って冷蔵庫にしまう。
搾乳器はすぐ洗って消毒。
そうそう、さっき吐いたから、着替えがもうない。コインランドリーで洗濯しなくちゃ。っていうか、もともと二泊のつもりだったからわたしの服ももうない。
ひととおり用事が終わって、さて、わたしも寝るか!と簡易ベッド(固い)に横になるとはる君が泣き出す……。

 

経鼻チューブが取れた

ミルクや薬を注入する為に鼻から胃まで通していた管が抜けた……というか、本人が引っこ抜いた。


はる君を抱っこしている時に、はる君の左手がチューブに引っかかって、途中までズルルルと抜けそうになってしまったので、あわててナースステーションに駆け込んだ。

看護師さんは一瞬入れ直そうとしたが、ちょっと考えてはる君の看護のログを確認しに行ってくれた。
「はる君、胃残(胃の中身をチューブから吸引して、胃の中に未消化のミルクがないか確認している)もここのところないし。……抜いちゃいますか!」
抜いちゃいますか!
ゆーっくり鼻からチューブを抜いていく……

チューブが抜けた瞬間の満面の笑み!
やったぜ!ドヤ顔たまらん。
これで、残すコード類は心電図のみとなった。

 

プレイルーム

ひろびろとした小児病棟のプレイルームにはVHS(!)や絵本、おもちゃなど小さいお子様向けのものだけでなく、すこし大きいお子様用に図鑑や将棋、オセロなどの遊具もあった。
VHSは古いが充実のラインナップ。
両親向けには難病の子供を支援する団体の書籍や入会のしおりが用意されていた。
やわらかい素材の大きな積み木は、組み替えるとアスレチック風になるようだ。
某有名スポーツチームのサイン入りグッズも置いてあったり。
この病院のプレイルームはちょっとした児童館以上に充実していて、みんな楽しそう。そして何より清潔で安心して遊ばせられる。
長男きい君が鼠蹊ヘルニアの手術をした病院はここまで広くなかったな。

 

プレイルームにはる君を転がして遊んでいるうち、付き添いのお母さん何人かと仲良くなった。
はる君と類縁の心疾患の子供も多かった。
やっぱりうちが一番の新参者だったようで、話しかけると「ああ、かなちゃんと一緒のお部屋にいた……」と大体の方がはる君を知っていた。
先天性心疾患は本当に多くて千差万別。
あるお子さんはこの病院で出産後、退院できたのが3ヶ月後だったという。またあるお子さんは手術の後遺症で一時声が全く出ない状態になったそうだ。泣き声すら無音だったと言っていた。
はる君は今日の診察で問題がなければ退院できる見込みなんです、と言うと皆うれしそうにお祝いの言葉をかけてくれた。


退院診察(CT)

そうこうする内に先生が来て、ちょうど眠りについたはる君を起こさないようにそおっと連れ出した。
CTは眠っていないといけないのだそう。
タオルで簀巻き状態で寝ていたので、簀巻きのままCTの機械へ。
5分程度で終わり、今度は心エコーに行く……と思いきや、いろいろ立て込んでいるようで、エコーは午後になってしまった。
明日か明後日退院できれば別に問題ないので、急がなくても平気である。

退院診察……できず

13時頃、眠くなるシロップをはる君に飲ませたが、それまでさんざん寝てしまっていたので全然寝てくれなくて、ただニコニコ笑っていて困る。
眠ったら知らせるように、と言われたが、30分経過しても元気に起きているので看護師さんに相談すると「効きにくい子もいるし、30分くらいかかる子もいますよ~もう少しだと思います~」と言われた。
なので抱っこゆらゆらして待つが、寝ない……。

 

ちょっとうとうとしかけたので、ちょっと早めだけど先生を呼んで連れて行ってもらう。
ところが、ほどなくして「起きちゃいました~」と帰ってきた。
前回服薬してから時間がまだ経っていないので、もう少し時間をあけてもう一回挑戦しよう、という事になった。

 

月末だった事を思いだし、病棟を離れてATMに行って帰ってくると、はる君が看護師さんに抱っこされていた。
あまりに寝ないので、今度は眠くなる座薬でチャレンジするとの事。
この時点で16時近く。
二回目は触っても起きないほど深く眠る事ができたので、また先生を呼んでもらった。が……来ない。
いくら経っても来ないー


で、結局この日は心エコーはできなかった。

夕方、わたしがうとうとしているとS先生がやってきた。
「エコー室が空かなくって……すみません」との事。
そういう事情なら全然オッケーですよ。
先生、謝らなくていいんです。
容態が安定しているはる君が優先順位が低くなるのは当然なんだから。
うちのはる君もきっと、誰かが待ってたエコーに割り込んだんでしょうから。
(病院の入り口にも、院内トリアージトリアージとは重症度や緊急度に応じて優先順位を決める事)を実施している旨掲示されている)

 

初おっぱい!

「それで、はる君なら大丈夫だと思うので、お母さんが良ければ直接母乳あげる練習してみましょう」
ありがとうございます!もちろん、大丈夫です!

と、自信があるような事を言ってしまったが、生まれてから今まで、ずっと哺乳瓶か経鼻チューブかでしかミルク(母乳)を飲んだ事がない。
わたしは長男きい君と次男るう君をどちらもほぼ完母(完全母乳の略)で育てたから、たぶん今回も母乳の分泌は十分いけるだろう、と思っていた。分泌を減らさない為に毎日搾乳して、いつでもおっぱいから直接飲めるように準備して待っていたのだ。
問題ははる君だ。果たして飲めるか?ゴムの乳首に慣れてしまうと、お母さんの乳首をいやがる子もいる。

 

そしてその時が来た。
はる君が空腹で泣き出したので、アドバイスを受けるために看護師さんに横についてもらって、ぽろんとはる君におっぱいを近づける。
すると……飲んだ!!
やったーー!!おっぱい!おっぱい!
看護師さんと二人で大喜びした。ぐいぐい飲んでいる力強さに驚く。赤ちゃんの本能というのは強い。
ずっと搾乳してきた甲斐があったね。搾乳も搾母乳を与えるのも少し手間がかかって大変だからね。

明日退院診察をして、結果が良ければ明後日はいよいよ退院。


わたしはもう不安じゃなかった。もちろん不安がゼロになったわけではないけど、一所懸命おっぱいを吸う姿を見て、「あ、この子生きてる」と実感が湧いた。
悲しくて絶望して泣いていた頃もあったが、おっぱいを吸う姿に希望を見た。
がんばれる、もう大丈夫。f:id:CALMIN:20160714202721j:image

コードが全部取れてスッキリ